さて、いきなりですが、話をわかりやすくするために、ここで言う口語イディオムというものを以下の3つに定義しておきます。

・現地の英語ネイティブは使う

・その単語の組み合わせからは意味が少しわかりにくい言い回し

・日本人のほとんどの英語学習者は知らない


どんなものがあるか具体的にほんの一部を挙げてみようと思います。いくつわかりますか?

to cost an arm and a leg

to cost a bomb

to pull an all-nighter 

to do one's head in 

a skeleton in the cupboard 
(米)a skeleton in the closet 

to bend over backwards 


まあ、こんな感じのイディオムのことについてです。どれも単語からだけでは意味が推測しにくいですよね。せっかく例に出したので、いちおう簡潔に説明しておきます。

上の2つの、to cost an arm and a leg / to cost a bomb はどちらも「値段がめちゃくちゃ高い」というときに使います。個人的には cost an arm and a leg の音が繋がる感じが好きなので、お気に入りのイディオムです。

To pull an all-nighter は「徹夜をする」という意味です。

To do one's head in は、主語の物が「頭にくる、イラつく」という風に使います。
例:She really does my head in. (あいつ頭にくる。)
これは単語からだけでは到底推測できませんよね。もはや知っているか知らないかだけです。

a skeleton in the cupboard は直訳すると、食器棚(もしくは押し入れ)の中のガイコツ。つまり、「誰にも言えない秘密」ということになります。 

To bend over backwards は、「後ろに背中を反る」というのが文字通りの意味です。背中を後ろ向きに反るのはかなり大変ですよね。体が相当柔らかくないときつい体勢。そこから、「(苦労して誰かのために)がんばる、一肌脱ぐ」というような意味で口語のイディオムとして使われます。

どれもおもしろい口語イディオムですよね。ではなぜ知っていても、こういった表現を使いすぎないほうが良いのかを書いていきます。


話し相手が必ずしも英語圏出身の人とは限らない

これが主な理由です。こういった英ネイティブ特有の表現は、ほとんどの日本人は知りません。程度の差はあれ、これは他の英語が母国語でない国も同じです。

個人的な話をしますが、つい先日アメリカ人の友達とbarに行ったんです。会話の中でぼくがTo cost a bomb というイディオムを使ったときに通じなかったんです。To cost an arm and a leg と言い換えてみたら、そっちの意味は知っていたみたいです。

ただし、アメリカでは使わないそう。To cost a bomb に至っては、聞いたことすらなかったらしいです。まさかのアメリカ人にイディオムを教えてあげるという逆転現象です。後からその2つがイギリス英語だと知りました。

このように、英語圏でも国によって違ったイディオムを使う場合もあり、同じ英語話者でも通じたり通じなかったりすることも少なからずあります。英語ノンネイティブが話し相手なら、なおさらですよね。

そういう英ネイティブ専用のイディオムを使うよりは、シンプルな単語を組み合わせたりしながら表現したほうが万人に通じやすいのです。


英語の初級者にはオススメできない

その理由は、最初の段階で口語イディオムたくさんを覚えると英語の表現力の幅が逆に狭まる可能性があるからです。

どういうことかと言うと、イディオムを覚えても、それを使う場面はある程度限られているから。もし自分の知っているイディオムを使うタイミングのない場合、逆に英語が話せなくなってしまうかもしれません。

また、最初に述べたと通りで、相手に通じない可能性もあります。その場合、初級者ならどうしたらいいのかわからなくなってしまいます。

少し小難しいイディオムをたくさん覚えるよりは、基本的な語彙をしっかり定着させ、なるべくシンプルで誰でも知っているような単語を使いこなして色んなことを表現できるようになるほうが、英語の会話力はつきます。


ただ、知っていると便利

というのも、洋画にはこういう英語圏特有のイディオムが使われることは少なくないです。そのときに、色んなイディオムを知っていると、内容理解もしやすいし、知っている英語に出会えて楽しいです。

英語圏出身の友達ができたときも、親しくなったらこういう感じのイディオムを聞くことがあるでしょう。知っていると助けになりますね。少なくとも害ではない。

理想は、基本的な語彙も定着しており、たくさんのイディオムを知っていることですね。


イディオムを覚えるならこうしよう!

色々と言ったものの、イディオムは英語ネイティブと話すときにはたいてい使えるし役に立ちます。それがきっかけで話が弾むこともありますし。

では、どうしたらいいのかというと

イディオムを覚えたら、そのイディオムを自分の知っている単語を用いながら同じ意味のことが言えるか考える。

これでイディオムが通じなかったり使えなかったりしたときでも、同じように言いたいことが英語で言えるようになっていきます。


ほとんどのイディオムは簡単な英語で言い換えて同じ意味を表すことができます。

例えば、

cost a bomb → too expensive

To pull an all-nighter → to stay up all night

To do one's head in → is really annoying 

A skeleton in the cupboard  → a secret

このように簡単に言い表すことができます。少し小難しいイディオムを覚えるときは、簡単な英語を使ってどのように同じことを言い表せられるかを常に考えてみると良いです。

実際に会話のコツは「自分の知っているシンプルな英語を使いこなす」ことです。理解の怪しい言葉や、ほとんど知らない単語を無理に使う必要はありません。

「いかに簡単かつシンプルな単語で伝えるか」ということを常に意識するのはオススメです。

関連記事:英会話のコツはシンプルに話すこと


まとめ

英語ネイティブ特有のイディオムは、英語ネイティブとより自然な会話をするこに役立ちます。話が弾むきっかけになることも。

ただし、世界全体の人口を考えると、英ネイティブよりも英語が第一言語が英語でない人たちのほうが圧倒的に多いです。そういった人と会話するときはそもそも小難しいイディオムは通じないと想定しておくといいでしょう。

イディオムを覚えるときは、それが使えないor 通じないときのことも考えて、すでに知っている英語を使って同じ意味のことが言い表せられるかどうかを考えたり練習したりすることをオススメします。

それにより英語で表現できることが増え、色んなことが話せるようにもなっていきます。