TOEIC900点と英検1級はどちらが難しいのかという質問をよく見かけます。

英語学習者でどちらも勉強してきた人ならなんとなく感じていると思いますが、あきらかに英検1級を取る方が難しいです。


実際、ぼくはTOEIC910点(英検1級受験の1年前に単発で受けそれが最後)と英検1級をどちらも取っているのでフェアな立場で言えますが、TOEIC900以上取る方が圧倒的に簡単でした。

ぼくの場合だとTOEIC910は教材も過去問もいっさい購入せず対策ゼロで取れました。就活のためにそのさらに3年前(2013年)にもTOEICは受けたことがありその時点で900点には到達していました。もちろんこれも対策ゼロ。

それから3年以上たった後なので英語力は向上したはずなのですが、それでも1級の一次試験にはそれなりに対策をしたものの一度落ちています(笑)

これはただの目安ですが、実際、英検1級合格には最低でもTOEIC940点は必要で、リスニングに関しては490点(TOEICのリスニングパートでほぼ満点)が必要と言われています。

テストの形式が異なるので単純にこれがすべての人に当てはまるわけではないので、TOEIC920点程度が英検1級の合格を狙える最低ライン、というのは妥当でしょう。

TOEICのみではなく、様々な方面から英語を学んできた結果TOEICが920程度の人なら、それなりに準備をすれば合格できると思います。

逆に、TOEIC対策に特化してきた結果920を取れたという人は、おそらくそこから猛勉強をしてやっと戦えるようになるか、ならないか、という感じでしょう。


ツイッターで英語学習者を探してみると、二つの資格の難易度の違いがよくわかります。

プロフィールを見てみると、TOEIC900点前後の人はほとんど全員準1級で止まっています。940点以上からちらほら英検1級も出てき始める、という印象。

TOEIC960とか、さらには990(満点)の人たちでさえ、1級不合格が割と多いことにも驚きました。

とまあ、これらすべてが物語っていますが、TOEIC900点と英検1級どちらが難しいか、というよくある質問。


答え:英検1級のほうが難しい。


※ただし必ずしもそうとは限りません。相性や得意・不得意もあるので人によっては感じ方は違います。おそらく一般的には1級取得のほうが難しいと言えるでしょう。


では何がそんなに違うのでしょうか。

この2つの資格の、語彙レベル、文章の難易度、読解のスピード、リスニングの難易度、求められる技能、で比較してみましょう!

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必要な語彙数

TOEIC(約5000語~6000語)

高得点(900点)を狙うには、英検2級程度の語彙数があれば事足ります。準1級レベルの語彙があれば、必要な語彙は充分すぎるほどカバーできてしまいます。


英検1級(約12000~15000語)

合格を狙うには、10000語を超えたあたりで、ようやく勝負に入る準備ができたかな、という感じ。これに達していないと、語彙問題はもちろん読解もボロボロになります。最低でも12000語は必要でしょう。

必要な語彙数は、約2倍も違うことになります。


文章の難易度

TOEIC(易~標準)

TOEICの読解は、たまにやや難しめの物もありますが、基本的には標準的です。メールやポスターなど、実用的な場面の物が多く、専門的な文章はありません。


英検1級(難~かなり難)

TOEICのように、日常の場面で出会うような文章ではなく、内容はかなり専門的です。例えば、脳の情報伝達の仕組みのような話もあります。ぼくの読んだことのあるその長文では、シナプスや白質、灰白質、ニューロンなど、イメージしにくいような専門用語がバンバン使われていました。専門用語以外でも、文の基本語彙や構造はTOEICのそれと比べて比較にならないほど複雑です。


読解に求められるスピード

TOEIC(速)

TOEICは問題数がかなり多いので、英語力というよりは、時間と集中力との戦いになりがちです。多くの人が最後までじっくり読めずに終わるみたいですね。900以上目指す場合、解ききれずに終わると厳しくなるので、かなり速いスピードでの読解が必要になります。


英検1級(速)

TOEICとはまた違った速さが求められます。長文の数自体は4つなのですが、1つの文章が長く、難易度が高い。TOEICとは違い、選択問題に一瞬で答えがわかるような物がない。TOEICの1問ミスと英検の1問ミスは重みが違うので、かなり丁寧かつ速く読む必要がある。読解に時間がかかりすぎてライティングが疎かになると合格は一気に遠のいてしまうシビアな世界です。


リスニングの難易度

TOEIC(標準~やや難)

基本的には標準的です。パート1や2など、苦手な人でもある程度正解できるような簡単な問題が多いのも特徴。難しい問題は1部だけです。数問の失敗なら満点も狙え、割と高得点がとりやすいです。


英検1級(やや難~かなり難)

実は読まれるスピードにはそこまで大きな差はありません。英検1級の方がTOEICよりも少し速いぐらいでしょうか。なぜTOEICのリスニングより難しいのかというと、読まれる文がかなり長いんです。話の内容や単語のレベルもけっこう高く、パート2に至っては、英検準1級~2級レベルの長文問題のリスニングバージョンです。パート4のインタビューは生の英語で3分ぐらい読まれ、スピードはかなり速く訛りもあります。


求められる技能

TOEIC(2つだけ)

リスニングとリーディングのみです。英語の運用能力(スピーキング・ライティング能力)が低くてもごまかしが効きます。満点近く取るには2技能とも高得点が必要ですが、ぴったし900点ぐらいなら、リスニングで満点近くとってしまえばリーディングで少し失敗しても簡単に取れてしまいます。


英検1級(4技能すべて)

これが2つの試験の最も大きな違いです。リスニング、リーディングで高得点が取れたとしても、ライティングがダメならもうアウトです。バランスよく得点できる力が必要になります。二次試験では純粋にスピーキングのみのテストとなるため、英語の総合的な技能の基礎がしっかりできている必要があります。



とまあ、各項目で比べてみれば明らかですね!

さらに、年間で受験できる回数も違います。TOEICはほぼ毎月受けることができます。なので正直なところ、対策うんぬん抜きにしても、数打ちゃ当たる感じはあります。

おそらくプラスマイナス50点は誤差の範囲内でしょう。

実際にプラスマイナス50点ぐらいで前後してる人はかなり多いです。


一方で、英検は年間3回しか受けられませんし、TOEICのような数打ちゃ当たるはほとんど通用しません。TOEICに比べると大きな誤差もないので、奇跡はほとんど起きないんです。受かるレベルだから受かる、まだ合格のレベルではないから落ちる、そういう世界。

ここからは自分の意見ですが、英語学習者の目指すべき目標というのは、英語力を総合的に高めることであって、スコアの上下変動に一喜一憂することではないと思うんです。

個人的には英語の各技能の総合力を高めるには英検対策のほうがTOEIC学習よりも適しているんじゃないかなと思っています。ライティングもスピーキングもありますからね。

なので資格試験が好きな人はTOEICよりは英検もしくはTOEFLなどに挑戦してみるとテストの勉強と同時に英語力を鍛えやすいんじゃないかなと。


この記事がきっかけで、英検にもチャレンジしたいと思った人はぜひこっちも見てみてください。自分なりに丁寧にまとめているつもりです。1級向けに書いていますが、基本的には準1級でも同じなのでぜひ。

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今ではTOEICはかなりメジャーなので900点以上を取っていると確かに世間的にはかなり評価が高いです。

就職や転職でアピールに活かしやすいという英語以外の部分での実用的な面ではTOEICのほうがコスパはいいと思います。

それでも英語学習の観点からは幅広い英語に触れて英語力を総合的に上げるほうがいいと思います。

同じシチュエーションのものを読んだり聞いたりし続けるよりも、違う英語にもたくさん触れるべき。そして同時にライティングやスピーキングの能力を高めていく。そのほうが総合的な力はつくだろうし、その結果自然にTOEICの点数もUPしてくるんじゃないかな。