対象:初心者
 
その辺の物を誰かに取って渡してほしいときがありますよね。例えば、テーブルの上にある塩やお茶。自分からは少し遠いから、その近くに座っている人に取ってもらいたい。

そんなときの「○○を取って」の英語での言い方を見ていきましょう。

ではさっそくですが、

「塩とって」

これを英語で言えますか?


【目次】
①Pass と Hand の違い
②Take は「取って」?
③単語の本質を理解しよう
④ためになるありがたいお話


1. Pass と Hand の違い

まず「~を手渡す」という動詞には passhand があります。微妙にニュアンスに違いがあって、サッカーでのパスのように複数の人の間で回すような意味合いがあるのはpass です。

食卓を囲っている場合の塩やお茶は、自分から相手に、相手から自分に、他の人から他の人にも渡したりする可能性がありますよね。

それに対して、Hand は誰かに手渡してそこで終わり。みんなで回すような感じではないです。例えば、チケットを人に手渡したりとかですね。

まあ、状況に応じてそういう細かな使い分けがあるにしても、どちらを使ってもほとんどの場合問題なく意味は通じます。

ややこしければ、物を取ってと頼むときによく使われるのは、pass だという認識でいいでしょう。

Can you pass me the salt? 
塩とってくれる?
 Please pass me the salt.
塩とって。

等のように言うのが一般的です。最初の方の例文をそのまま暗記しておくといいですよ。そうすると、salt を他の物に置き換えることで、「○○取って」と言えます。

つまり、Can you pass me ○○? で「○○を取って」と言えます。it のときは、Can you pass it to me? の順番になるのも覚えておきましょう。

ここからは気をつける点です。


2. Take 「取る」は使えないの?

初級者がやりがちなミスとして多いのは、take を使うことです。

その原因は日本語訳にあると思います。

Take は「取る」というような対訳で紹介されることが多いので、「それ取って」と言うときに Please take it. のように言ってしまうことが多いみたいです。

ただ、take を「取る」という意味で使う場合は、「その場を離れていく」ニュアンスが含まれます。決して「渡す」という意味にはなりません。

Please take it. は「それ取って」ではなく「持って行って」という意味になります。
Take the pen. 
そのペン持っていきな!
Take an umbrella with you. 
傘を持っていきなさい。
Take anything! 
好きなものを持って行っていいよ!

take を「取る」という意味で使う場合は「そこを離れる動き」があるのはわかりましたね。中学英語でよく出てくるtake A to B (AをBに連れていく)なんかもそうです。

カバンから何かを取り出したりするときは、take out を使います。これも、物をカバンの中から外に持っていってる動きが出ています。

靴や服を脱ぐのもそうです。Take off your shoes. のtake には(yourself) が省略されていると思ってください。off は「離れて」という意味があるので、自分自身を靴から離れてつれていく(=脱ぐ)というようになります。

ちなみに、Take yourself off! と相手に言い放つと「どっか行け」(=Go away) みたいな意味になります。これも自分自身を持っていって離れろ、という理解でOKです。

つまり、Please take the salt. は「塩を取って」ではなく「塩を持っていって」という意味になります。

従って、「○○を取って」の意味では take は使えません。

リビングでご飯を食べていて、他の人が食べ終わった食器をキッチンに運ぼうとしてるときに、「ついでに塩も持っていって」という状況なら、Please take the salt. もあり得そうです。


3. 単語の意味の本質を理解すべき

日本語は曖昧というか多少雑な部分があると個人的には思っていて、1つの単語で色んな意味を持つことが多いです。

単純に英語と和訳で対応させるのではなく(もちろんそれも大事ですが)、しっかりと英語を英語の意味で確認して本質を理解する必要があります。

もちろん全部の単語でそうする時間はありませんが、日本語にうまく当てはまりにくい単語や熟語、フレーズなんかは必ず英語で意味を確認すべきです。



4. 簡単に手に入る情報は鵜呑みにしない

ネットには英語に関してもたくさんの情報が溢れています。中には質の悪いものもたくさんあります。

最近はTwitterやインスタで単語の羅列系なんかを目にすることが多いですが、どこかからの寄せ集めを解説せずに羅列しているだけの情報には特に要注意です。辛口かもしれませんが、ぼくの知る限りだと解説なし羅列系はほぼ地雷です。

少しググって出てきたものを寄せ集めて羅列するだけなら素人でもできます。誰でも出来てしまうからこそ問題です。

そもそも「ん?」と思うことや、書いてる本人もどこかから寄せ集めただけで理解できていないなと思うことが多々あります。

単なる和訳の意味1つや、大雑把な括りの中で、ニュアンスの違いを無視して単語や表現をごちゃ混ぜにして紹介していたりして、学習者が間違った使い方をしてしまうことを助長しているように思えます。

こういうネットに溢れている情報が良質かものかどうかは学習を始めたばかりの人には判別は難しいと思うので、少し気の毒です。影響力のある人がこういうのしてたりするので、正直、世も末だなと感じます。

とにかく言いたいことは、ネットで簡単に目に入るような情報は疑って入ることがめちゃくちゃ大事です。

誰でも情報発信できる時代だからこそ、役立つ情報が増えたぶん、その数に比例して質の悪い情報も増えました。

何でも鵜呑みにするのではなくCritical thinking をしてください。こんなに情報に溢れている時代だからこそ、自分の力で考えることが求められています。

ぼくは完全に趣味の世界で楽しんでやってるだけなのですが、自分が理解して使いこなせる表現から役立つものを厳選して、さらに英語で意味を調べて細かいニュアンスを丁寧に解説しているつもりです。

このように出来る限り質の良い正しい情報を提供しているつもりですが、それでも間違うこともあるかもしれません。これは保険をかけているわけではなく、ぼくのブログ記事やツイートも疑ってかかるぐらいでいてもいいということです。


おお、これ便利だな、いいな、というものを誰かに教えてもらって勉強した気になるのではなく「それ本当に合ってるのか」もしくは「もっと詳しく知りたい」ぐらいの感覚で、自分でしっかり考え調べることで初めて自分の物へと昇華されます。

英語の用法に関して言うと、英語で英語を調べて、複数個を比較してみると本質が掴めるので、気に入った英語の単語や表現は英語でググりましょう。