シャドーイングは英語力を総合的に高めるのに個人的に一番おすすめの勉強法です。
ここまでバランスよく英語の4技能をすべて高められる方法はなかなかありません。
ぼく自身、英語のシャドーイングを本格的に始めてから7年ぐらい経ちます。今でも日課として、よほどのことがない限りは基本的に1日に1時間は費やしています。
7年ぐらいずっとやっていると自動化できて、勉強というよりもはや歯磨き感覚になってきて、やらないと気持ち悪いんですよね。
とまあこんな感じなのですが、大学1年生だった頃に初めてシャドーイングを始めました。そこからたった数ヵ月で面白いほどスピーキングに効果が現れました。それが最初のスピーキングにおけるブレイクスルー。
自分の中でその体験の影響が大きくて、そこからはシャドーイングを英語学習の中心におくようになりました。そのおかげで着実に英語力を高めることができました。
もちろんそれだけをしていれば良いというわけではなく、単語を覚えて語彙力をつけたり、実際に会話してみるとか、色んなことを並行して行う必要はありますが、やはりシャドーイングは学習の中心あるいは基盤に常にあるべきだと思っています。
シャドーイングをすることによって英語を英語のまま考える習慣がつくので、それがそのまま話すのにはもちろんストレートに聞いたり読んだりするのにも役立ちます。
そして純粋に英語の発声トレーニングにもなります。
もししばらくの間英語から離れてしまっても、シャドーイングさえ毎日欠かさずにやっておけば英語力はなんとか最低限は維持することもできます。それぐらいシャドーイングの効果は大きいです。
英語力を高めたいならシャドーイングは必須なのですが、じゃあどんな素材を使えば良いの?と思うかもしれません。
なので今回は、アメリカ英語のものとイギリス英語のものに分けてシャドーイングにおすすめの教材を紹介していきます。
なぜアメリカ英語とイギリス英語に分けるのかと言うと、シャドーイングはアクセントもそのまま音声に真似ることになります。そのため、自分が身につけたいアクセントは統一する必要があるからです。
ちなみに、この記事で言うアメリカ英語は、各種試験や教材で日本人に馴染みのあるアクセント。イギリス英語に関しては、RP(標準発音)や、ロンドンやその周辺のイングランド南部で話されるRPに近い現代的な英語です。
さて、今からそれぞれ紹介していくのですが、数ある中から本当に自信を持って良いと言えるものだけを厳選したので、ぜひじっくり読んでみてください。
まずは日本の英語学習者に一番馴染みのあるアメリカ英語から!
【アメリカ英語】
(1)決定版英語シャドーイング
シャドーイングを始めたいなら、このシリーズが断トツでオススメです。著者の方はシャドーイングの権威で、まさにシャドーイングのために書かれた本。
英語のダイアログや説明文が豊富で、内容はどれも実生活に即していて実用的です。
使われている英語はシンプルですが、これぐらいの英語を何度もシャドーイングして口から出せるようにすることで、実践的な会話力は高まります。
スピードはかなりゆっくりめなので、シャドーイングを初めてする人にはまさにぴったり!聞けるのと自分で実際にスラスラ言えるのは全く違います。普通に聞ける速さの英語でも、自分で言おうとすると意外と難しかったりします。
初めての人にはレベルはかなりぐっと落として、ここからスタートするのが一番です。
実はこの本はぼくがシャドーイングを始めた頃に一番最初に使った本で、これを2~3ヵ月やりこんだ頃に会話力に大きな変化が出始めました。
個人的な思い入れもかなり強い本なので、シャドーイングで会話力を高めたい!という人には、まずはこれをいつも勧めています。
こちらは超入門ですが、他にも同じシリーズで入門編と通常レベルがあるので、順番にこなすのがおすすめです。
徐々にレベルアップしながらシャドーイングの量をこなすことができます。何度も繰り返すことで使われている表現が自分の会話の引き出しになっていきます。
(2) 英検のリスニング問題集
次にオススメなのは、英検のリスニング教材です。英文の質と豊富さに関しては、市販教材の中では最強だと思います。
先ほど紹介した「決定版シャドーイング」が余裕になったら、次は英検2級のリスニング教材に進むのをオススメします。
なぜそこまで英検リスニングが良いのかというと、日常のあらゆる場面の会話文がシャドーイングできるからです。
例えば、旅行の計画の話、子供の送り迎え、交通情報の話、映画についての雑談など、日常生活で誰でも経験する多くの場面のダイアログがそのまま素材として使えます。
これを全部覚えてしまうぐらいシャドーイングをしてしまえば、会話力はかなり高くなります。
また、英検リスニングは、会話文以外にも、ダイアログではなく1人の話者が読み続ける説明文、飛行機や電車のアナウンスに、電話サービスのメッセージなど、本当に英語の種類が豊富です。
また、1級となると、上記に加えてビジネスシーンやインタビューなど、さらに種類が豊富になります。
そして何より、英検の英文は本当に質が高い。それをたくさん吸収すればかなり実践的な英語が学べます。
英検2級が余裕になるぐらいやりこんで準1級、そして1級。段階的にレベルを上げていき、最終的に1級リスニングのシャドーイングが余裕でこなせる頃には英語力は見違えるぐらい変わると思います。
シャドーイングしていればいつの間にか勝手に英検のリスニング対策にもなるし、英検リスニングシリーズのシャドーイングは一石二鳥です。
(3) 英検の文単シリーズ
「文で覚える単熟語」というシリーズで、こちらは3級~1級までの5冊あります。
文章の中で単語を覚えるというコンセプトの単語帳なのですが、その英文がシャドーイングにまさにピッタリです。
英検2級までは説明文と会話文が両方あり、英検準1級からは説明文のみとなります。文章は英検のリスニングや長文の過去問から抜粋されたものが多いので、先ほどのリスニング問題集と同様に英文の質が高いです。
各級それぞれ文章の掲載数がかなり多いので、たくさんの量をこなせます。その間に単語も覚えれるので、シャドーイングをしながら単語学習の側面もあります。
文章の種類がかなり豊富なため、毎回飽きずに楽しく続けやすいのも良い点です。
シャドーイングをこれから始める人にも、色んなレベルの人がいると思います。
ただ、シャドーイングの目的が会話力UPであるならば、文単は英検3級から始めることを強くオススメします。
なぜかと言うと、3級レベルまでの単語は日常会話に最頻出!つまりそれらが使われている文章は、まさに日常に一番即した内容です。
それこそ勝手に覚えてしまうぐらいシャドーイングしまくれば、その英語はそのまま会話で役に立つでしょう。
そして、3級レベルの基礎単語を使いこなすことができれば、会話の基礎力が固まります。ここを飛ばしてしまうのは本当にもったいないです。
3級から1級までの文章数を合計すると半端ないのですが、文単を順当に進めれば莫大な量の質の高い英語に触れられることになります。
また、3級~1級までのレベル5段階と事細かく無理なくステップアップしていけるのもかなり魅力的です。
英検準1級からはイギリス英語の音声も出てくるようになり、1級からはアメリカ英語とイギリス英語が半々になります。
ただ、文単のイギリス英語はかなりニュートラルで癖がないので、アメリカ英語が好きな人がそのままシャドーイングしてもまったく問題ないと思います。
アメリカ英語シャドーイングまとめ
市販の英語教材は多いしどれを使うべきか迷いますが、この記事内で紹介した上の3つを使えば間違いないです。
特に英検の音声を使ってシャドーイングを徹底すれば、会話力に限らず単語力も表現力もかなりつくので、もし英検を受けないにしてもオススメです。受ける場合は勝手に試験対策にもなります。
できる人はすべてこなしてみてください。本当に英語力が爆上がりしますよ。
仕事で英語を使う人でビジネス英語を学びたい場合は、TOEICの教材でシャドーイングしたらいいですね。
【イギリス英語】
(1) [ドラマ仕立て]イギリス英語のリスニング
イギリス英語が好きな英語学習者もけっこう多いのですが、アメリカ英語が好きな人の方が多数派ではあります。
そのため市販の教材はアメリカ英語の音声が主流ですが、実はイギリス英語の教材もけっこう充実しています。
それでもアメリカ英語よりは数もすくないぶん、どれもイギリス英語の発音や表現に焦点を当てていて、質が高いものが多いです。
実はぼくはイギリス英語の市販教材を漁るようにシャドーイングしたので、その中から厳選するのはなかなか難しかったのですが、個人的に一番お気に入りのものを選びました。
ちなみに、その漁るようにぼくがシャドーイングしたイギリス英語教材はこの関連記事にすべてまとめているので、気になる人は参考にしてください。
関連記事:イギリス英語のシャドーイング教材まとめ
[ドラマ仕立て]が良い理由は、ダイアログの長さがどれも1分程度で、シャドーイングだけでなく暗唱などにも応用しやすいところ。
そしてストーリー形式という珍しい本なので、普通に続きが気になり一気に進めてしまいました。笑
1月~12月まで、それぞれの月につき3個のダイアログなので、合計36個のダイアログです。(1つのダイアログがだいたい1分ぐらい)
登場人物が多いので色んな英語を聞けるのも良いし、何より登場人物の多くのアクセントが今時のロンドンの若者っぽい印象を受けました。
教材用のお堅いRP(標準発音)というよりは、RPではありながらなるべく自然な今時のアクセントに近い読み上げという印象です。
音声の速さも速すぎないのでシャドーイングにぴったりです。
また、表現も、イギリス英語の定番のLovely や fancy、alright やcheers など、その他色々一通りしっかりと出てきてくれるのもかなり良い!
なのでイギリス英語でシャドーイングしたい人にはかなりオススメの1冊!
(2) イギリス英語のリスニング
イギリス英語のシャドーイングの超入門的な教材です。本というよりは、CDに冊子がついていて、その冊子にスクリプトが載っています。
見開きで、左が英文、右が和文で、下には単語の意味が載っている、シンプルな作りです。
ドラマ仕立てのイギリス英語のように今時のアクセントというよりは、かなりカッチリしたお上品なRPの音声です。
かなり堅いお手本すぎるようなアクセントですが、それがイギリス英語のアクセントの原点です。
つまり、イギリス英語の色んなアクセントの根底なので、まずはこの音声を真似ればイギリス英語の基本となる発音やアクセントが身につきます。
ちなみに、この教材は、アメリカ英語のところで最初に紹介した本と同じくらい個人的な思い入れが強いです。それは、ぼくが初めてイギリス英語のシャドーイングをしたのがこの本だからです。
この本もかなり徹底してやりました。イギリス英語で一番最初にこれをしたのは本当に正解だったと思います。
音声スピードはかなりゆっくりで、一文字一文字かなりハッキリとした綺麗なイギリス英語で発音されています。
イギリス英語のシャドーイングで初めて取り組むには一番良いと思います。
ゆっくりの音声ですが、英文は英検2級の長文ぐらい(センター試験ぐらい)のレベルです。
そして、1つの文章がけっこう長くてボリューミー。文章の掲載数も多くて、がっつり量をこなしたい人にはうってつけ。
内容はイギリスに関することなので、イギリスに興味がある人にもオススメです。もちろん、イギリス自体に興味がない人でも楽しめる内容です。
例えば、サンドイッチの起源や、パブの話、アメリカ英語とイギリス英語の違いなどがあります。
(3) 文脈で覚えるIELTS英単語
この本は文章の中で単語を覚えるというコンセプトで、英検の文単シリーズと似ています。
大きな違いは、音声がすべてイギリス英語であること、そして、英検のような細かなレベル分けはないということです。
体感的には、文章のレベルはおそらく英検の文単準1と同じぐらいの印象です。単語は2級~1級レベルのものまで幅広くあるという感じです。
この本がオススメなのは、英検の文単シリーズとだいたい同じです。
文章はなんと96個!しかもリーディングの文章、ライティングの文章、スピーキングの文章に分かれているのも良いところ!
文章は読んでいてどれも面白いです。ただ、決して簡単すぎるというわけでもないので、ほどよく頭を使いながら飽きずに楽しめるのではないでしょうか?
文章の速さはゆっくりめで、音声は(2)とよく似ています。教材にあるような綺麗なイギリス英語で丁寧に読まれているため、慣れてない人でもシャドーイングにうってつけ。
ただ、音声はイギリス人の男女2人なのですが、単語の発音記号はなぜかアメリカ!
まあ、そこは大きな問題にはならないと思います。発音記号が読める人なら違いも比べられたりしますからね。特に困ったことは一度もないです。
とにかく文章の数と単語数、例文の数もかなり充実しているので、これを徹底的にやるとスピーキングだけでなく、単語学習の側面でもかなり大きな力を発揮します。
関連記事:文脈で覚えるIELTS 英単語が超おすすめ!シャドーイングにも良い!
関連記事:文脈で覚えるIELTS 英単語が超おすすめ!シャドーイングにも良い!
(4) BBC Learning English
最後に、これだけは絶対に外せません。ぼくはこれを愛用しています。
インターネットさえ繋がっていればスマホやパソコンから誰でも無料で使える、BBC(イギリスの放送局)が運営する世界最大の老舗英語学習サイトです。
パソコンからだとホームページで使うのがオススメ、スマホやタブレットだとBBC Learning English 専用の無料アプリやYouTubeがあります。
実用的な英語を身につけるのに必要なコンテンツが豊富で、それぞれの主要コンテンツは毎週1回新しいものが更新され続けます。もちろん過去の物もいつでも見れますよ。
その中でも特にシャドーイングにオススメの物を紹介します。
The English We Speak
毎週月曜日に新しいのが更新されていきます。普段の会話で使われる表現が毎週1つ会話形式で学べます。
紹介される表現はもちろん、なんと言っても会話中で使われている英語が英会話学習にびったり。
二人の日常の会話をシャドーイングすることで、そのまま英会話に役立ちます。
普通の日常会話なので、BBC Learning English の中では一番簡単なコンテンツの1つです。
動画に字幕もあるし、スクリプトのみのダウンロードもできますよ!
6 Minute English
毎週木曜日に更新。The English We Speak と同じように、2人のプレゼンターの会話です。
毎回異なるトピックに関して6分間のディスカッションで、その中で毎回そのトピックに関連する語彙を学ぼうというコンセプトです。
The English We Speak よりは少しだけ難易度は上がりますが、英語中級者には無理なく理解できる内容です。
毎回の話題も興味深く、シャドーイングしていて一番楽しいのが6 Minute です。
YouTubeでは字幕設定もあり、ホームページではスクリプトもダウンロードできるので、ぜひ活用してみてください。
English at Work
こちらはエピソードになっていて、全部で60話以上あります。すでに最終話まで更新されているので、これから新たな更新はありません。
様々なビジネスシーンの会話なので、ビジネス英語が学べます。TOEIC等をしている人や、仕事で英語を使う人にはかなりオススメ。
映像つきで字幕も出ていて、音声スピードもゆっくりなので、シャドーイングしやすいと思います。
【その他シャドーイング素材】
ここまで米英それぞれの英語のシャドーイング教材でオススメの物を紹介しました。
上記のものが気になったら、ぜひシャドーイングを徹底的にやり込んでみてください。本当に英語力に変化が出ます。
その後は、ドラマや映画、インタビューなど生の英語音声を使ったり、好きなYouTubeを見つけてどんどん好きな物、好きなジャンルをシャドーイングすれば良いと思います。
そして、自分が使っている単語帳をシャドーイングしてしまうのも語彙力がついてオススメ。
文単のような文章つきのものでなくとも、普通の見出し単語と例文の物でも、音声を聞き実際に声に出して読むシャドーイングをする習慣をつけるのはオススメです。
例えば、ぼくは普通の単語帳だと、IELTS のものをシャドーイングしています。音声がイギリス英語なので、アクセントの練習にもなるし語彙の定着も図れるので一石二鳥!
また、最近はオーディオブックで音声を聞ける洋書が多いので、一度読んだことのある洋書を再利用したり、新しく気になる洋書をシャドーイングして、音声とともに声を出しながら読むのも良いですよ!
最初は英語学習者向けに書かれた容易な洋書から取り組むのがオススメです。
学習者向けに書かれている洋書は語彙が易しいため、知っている範囲での語彙力での色々なことの表現の仕方もインプットでき、会話での再現性が自然と高くなるので、シャドーイングにはうってつけ。
そこから段階的に難易度を上げていくというのがやはり一番だと思います。
ぼくもいくつかイギリス英語音声の物を洋書シャドーイングをしてみました。こちらに書いてあるので、ぜひ見てみてください。
イメージでは、著者がアメリカ人ならアメリカ英語、イギリス人ならイギリス英語の音声という感じですが、もちろん例外もあります。
アメリカ英語かイギリス英語かに関してはサンプルを聴いて判断したり、それでもわからない場合は自分で調べてみましょう。
基本的にはアメリカ英語のほうが多めだと思います。
【この記事のまとめ】
今まで色んな教材を使ってきましたが、今回の記事ではその中でもかなり厳選して選びました!
どれを取ってもクオリティが高いので、片っ端からどんどんシャドーイングしてもよし、好きなものだけ選んでシャドーイングするのも良いと思います。
ぜひ英語学習に役立ててください。
コメント
コメント一覧