Jアプローチを知っていますか?


アメリカのコーネル大学名誉教授のジョーデン博士が開発した難言語の教授法・学習法で、スピーキング習得作業を土台として他の3技能も一緒に効率よく向上させていくというものです。


英語教育の4技能化が始まりつつあろうとしていて、今まで学校の授業ではほとんど扱われなかったスピーキングの重要性も高まってきていて


そんな中、スピーキングを中心として4技能を高めていくJアプローチをたまたま知ることになり、興味が沸いたのでJアプローチの本をGET!


英会話講師としてだけでなく、いち学習者として何か英語の勉強法で発見があれば~という少しの期待も込めてさっそく読みました!






この本に興味を持ったきっかけは、ぼくがツイッターでフォローしている著者の米原幸大先生のツイートです。毎回英語学習について発信されていることに説得力があり、納得してしまうものが多く、個人的には豆にチェックしています。そんな先生の書いた本なら読んでみたいということで購入。


というわけで、一部引用も交えながら発見したことや感想を書いていきます!




・英語で書かれた英語教材の問題点に言及している!


英語は英語で学ぶべき!という言っている人はけっこう多い中、英語で書かれた教材の問題点が書かれたものは珍しいと思います。

この本で著者が主張しているのは英語と日本語の言語的距離です。

これは案外見落としがちなポイントではないでしょうか?


わかりやすく言えば、〇〇語は難言語だ!とは一概に言えないわけです。〇〇語が難言語かどうかは母語との
距離で決まります。


英語は、ドイツ人などにとっては易しい言語です。語順や文法が近いのはもちろん言語が同源なので。

逆に日本人にとっての英語は「最難言語」です。確かに、文法・語順はもちろん何ひとつかすっているところすらありませんよね。


英語で書かれた教材では、この日本語と英語の大きなズレの部分をカバーできず、効率よく英語学習するのには向いていないということです。


このことは「英語を学ぶのはネイティブからがいいのかどうか」の議論にも繋がると思います。

英語の教授法について学んできていて、ノンネイティブの視点からも英語を見れる先生ならば良いと思いますが、そうでない場合は日本人の先生から学ぶほうが良いと思うのがぼくの考えです。日本の英会話教室のネイティブの先生はほとんどの場合教授法に関する知識はありません。

著者も「ネイティブの先生とのレッスン」に関する問題点について少し触れています。




・言葉は音声であり、スピーキングがすべての技能の土台。


これはまさしくその通りです。ということで少し引用。

読む、書く、聞く、話す、そしてグラマーはバラバラに存在しているわけではありません。私たちの母語である日本語を習得した経緯を考えてみれば分かりやすくなりますが、言語は音声言語がプライマリーで文字言語はその上に乗っているに過ぎません。言葉とは音なのです。音声言語の中でもスピーキングは圧倒的に重要です。




リスニングとスピーキングとの関係について引用。

英語学習者がスピーキングをするときに文型や表現、そして発音やイントネーションに問題の出る英語は、そのリスニングにも相応の限界が来ます。(省略)自分でしゃべれない英語はリスニングに限界がきやすく、逆に自ら正しく自然な英語でしゃべれば、その英語はスムーズにリスニングができるようになっています。



確かに、聞けない英語を話せないことはあっても、自分の口でスラスラ話せる英語を聞けないことはほぼないんですよね~。


リーディングとスピーキングに関しての引用。

言語の本質は音です。母語の日本語の習得を考えてみれば明らかですが、音としての日本語から習得が起こります。その音としての日本語があるという前提があってはじめて効率的にリーディングの習得ができるのです。その前提がなければ、「リーディング」は reading ではなく decoding、つまり「分析」「分析理解」「暗号読解」で、英文を語順通りに理解しないで、その語順を頭の中でひっくり返して読むと言った、遅いリーディングになりやすくなります。


これは本当で、ぼく自身も英会話に力を入れ出してからリーディングに関する特別な学習はほぼまったくしていません。たまに好きな洋書を読んだりはしますが娯楽です。で、読み中心だった高校時代の頃と比べ物にならないぐらいリーディングは伸びました。その結果、英検対策もかなりスムーズに。(英検1級1次を二回受けて、二回合計読解パート1問ミス)

※ぼくの英語学習時間の占める割合をスピーキングとリーディングで比べたら95%と5%ぐらいです。誇張ではなく割とガチです笑



ライティングとスピーキングに関しては省略しますね。

そりゃあ、とっさに話せることは書けますからね(笑)
話せることなら、書いたときにはさらに高いレベルで表現できますよ。

スピーキングのレベルが5だったとしたらライティングのレベルは10です。

ライティングのレベルを10→11にするよりも、スピーキングのレベルを5→6にしたほうがいいですね。そうしたらライティングレベルも10→12です!




・Jアプローチができる教材はどんなものか。


英語のスピーキングに関して、文法は疎かになりがちで、スピーキング指導するときにも目をつぶりがちなものです。が、Jアプローチでは「文法の理解」の重要性はかなり高いです。

最初の方に触れましたが、日本語と英語の言語距離によるズレを理解しておく必要があるからです。


文法は言語のルールであって、ベースになりますからね。確かにすごく大事です。ぼくがスピーキング学習にスムーズに取り組めているのも最低限の文法の土台ができているからこそ。


なので、グラマーに関する詳しい説明があることは必須ということ。


この本によると、

・グラマーの詳しい説明があるか
・広い英語の世界をカバーしてあるか
・繰り返しができるか
・言語文化上のルールもカバーしているか
・いろいろな言語面を連動させて習得作業を行えるか

だそうです。


つまり、書店に溢れかえっている英会話教材のようなものではダメということ。


そもそも、日常生活の本の一部のみの世界しかカバーできていないし、例文の量もせいぜい1000個ほど。文法など詳しい説明もありません。まず薄い内容なので繰り返してもあまり効果がないですね。

逆に考えると、文法に関して詳細な説明があり、様々な種類の例文があり(例文が実用的であることも大事)、例文の数もかなり多い(色んな場面をカバーできるほど)、そして内容が濃く繰り返すことで高い効果が得られるものが良い教材ということです。


確かに、例文の数(もちろん英文が自然かつ実用的であることも)はとても大事だと思います。

文法などを理解した上で、例文を何回も反復して口からスラスラ出るレベルにまで持っていくということですね。



Jアプローチを可能にする教材を著者である米原先生が何年もかけて自ら作ったそうです!





Jアプローチの本を読んで、文法の重要さも改めて感じたのと、莫大な数の例文に触れたいと思ったのとで、この教材をこれからずっと使っていきたいと思い、こちらもすぐにポチっとしました(笑)

あまり躊躇なくこれを買ったのは、この本で先生の考え方に触れて、この人の書いた本なら間違いないだろうと信用できたからです。


文法はもともと得意なほうですが、高校卒業以来は文法に関する勉強はしてこなかったので、改めてスピーキングのための文法を固めるのと、幅広い例文を身に着け表現の幅を広げることを目的に、今これに少しずつ取り組んでいるところです。


まだ使い始めたばかりですが、特筆すべきことは例文の量と質です。そりゃあ何年もかかってしまうのも納得のクオリティで本当にしっかりと作りこまれていると思います。タイトルだけだとただの文法書っぽいですが、これは英語の総合本じゃないかな。これ1冊やり込めばかなり力がつきそうです。初心者、上級者問わず。


高校で使わされていた文法書とのクオリティの差にびっくりします(笑)


これの紹介はこの記事の趣旨からそれるのでここまでにして、改めて別の記事で紹介したいと思います。




・Jアプローチの本の感想まとめ


この本について紹介したいことは他にもたくさんありますが、全部を紹介するには時間がいくらあっても足りないしまとまりがなくなるし、本を読む意味がなくなってしまうので、ここまでのほんの一部に留めておきます。気になった人はぜひ本で詳しく読んでみてください。ということで総合的な感想。


「ネイティブの先生のレッスンの問題点」「文法の違いだけでなく言語文化の違い」などなど、普通の学習本では触れられていないようなことが多く書かれている印象を受けました。


学習法に関しては、もともとスピーキングの重要性を感じているぼくからすれば納得すること賛同するところが多かったので、目新しい発見はあまりありませんでしたが、英語のスピーキング学習に興味のある人、逆にスピーキングを敬遠している人や苦手意識を持っている人、TOEICなどでスコアが伸び悩んでいる人、それに英語指導者の方なんかにはオススメできる内容でした。


読み偏重の人なんかには、口で色々説明するよりも、「これ読んどきなされ!」って渡したい1冊です。


ちょっと残念だったところ(もしあれば次の本に期待を込める意味で)は

数ページにわたって間違いやすい冠詞や発音・イントネーションなどの説明があったところ!

学習者が見落としがちな点や知らない人が多そうなことがたくさん書かれていたけど、この本ではそれは求めてはいなかったかな。もちろん書いている内容はすごく良かったんです。

文法や発音イントネーションなどは、先生の書かれた完全マスター英文法やその他の教材などで見れると思うので、この本にはページをそれには割かずに、さらに先生の意見やJアプローチについて、またはJアプローチを採用しているレッスン風景などを代わりに書いてほしかったかなーと。

ちょっと欲張りすぎかもですが(笑)


総合的には良かったです。英語学習者にも英語上達のための発見がありますし、とくに指導者には生徒の英語力を上げるためのヒント(というか答え)があります。

こういう考えが広まれば日本の英語教育は間違いなく良い方向に向かうので、色んな人にJアプローチについて知ってもらいたいなーって思いました。

めでたし、めでたし。